健康コラム
2013年7月 6日 土曜日
よくわかる狭心症・心筋梗塞
6月2日に行われました「よくわかる狭心症・心筋梗塞」をテーマとした第2回須磨医療フォーラムの内容を、当日座長を務められた松本クリニック 院長 松本善太郎先生にわかりやすくまとめて頂きました。当日参加できなかった方、あるいはもう一度復習してみたい方はこちらをクリックしてご覧下さい。
2013年4月18日 木曜日
風疹の予防のために一般成人も積極的に風疹ワクチンの接種をして下さい
平成24年から全国的に成人を中心として風疹の大流行が起こっています。平成24年は全国で2353例が報告され、これはここ数年の平均発症数の10倍以上にあたります。更に平成25年になってからはより発症数の増加が目立ち、3月末までの3ヶ月間で昨年を上回る2903例の発症がみられています。特に発症の多い地域は、東京、神奈川、千葉の首都圏と大阪、兵庫の関西圏です。神戸市においても平成24年1年間は67例の届出がありましたが、平成25年は1月から4月10日までの間にすでに同数の67例の届出がなされています。このままなら昨年の3倍以上の発症が予想されています。
ところで風疹とはどのような病気でしょうか。風疹は麻疹とともに非常に有名な病気ですが、最近は流行することが少なくなっていたために病気自体を知らない人が増えてきました。風疹は風疹ウイルスによって起こる伝染性の病気で、ヒトのみが発病します。症状の出ない不顕性感染は15%から25%程度あります。潜伏期間は2週~3週で、まずは細かな斑状の発疹が顔面から体幹、四肢に出現します。この発疹は融合することのないのが特徴です。同時に頚部、後頭部、耳の後ろのリンパ節の腫れがみられ、発熱など風邪症状もみられます。発疹や発熱は大体3日程で消退しますが、リンパ節の腫れはしばらく残ります。風疹が「3日ばしか」呼ばれるのは、病気が麻疹と異なり3日程で治ってしまうことからです。子どもでは風疹は、麻疹と違ってあまり重症にはなりませんが、それでも約6000人に1人は脳炎を起こし、約3000人に1人は血小板減少症などの合併症を起こします。しかし、成人の場合は子どもに較べはるかに症状はきつくなります。発疹や発熱以外に関節痛や結膜炎も多く、合併症も起こりやすく治るまでの時間も長くなります。
現在の風疹の大流行は子どもではなく、予防接種をしていない成人(特に男性)で起こっています。日本では1977年から女子中学生にのみ風疹ワクチン接種を始めました。しかし、風疹感染を最も起こしやすい子どもに接種をしなかったために、風疹の流行は全く止まりませんでした。1989年からMMR(麻疹・風疹・おたふくかぜ)ワクチンが男女の区別なく出来るようになりましたが、これも副作用のため接種が中止になり、接種者は広がりませんでした。1995年からは風疹ワクチンの接種対象を1歳~7歳半までの子ども全体に変更し、更に1979年以後の出生者に対する経過措置の接種も認められました。このことにより子どもでの流行はなくなりましたが、接種が1回のみで不徹底だったこと、また経過措置の情報伝達も不十分だったため、未接種者や成人の発症は続いてしまいました。2006年から未接種者をなくすためとワクチンの予防効果をより高めるために、1歳児と就学前1年間の2回接種が始まりました。また、2008年からは5年間の期限付きで中学1年生と高校3年生にも接種が行われ、未接種者を除けば1歳以上18歳以下の子どもは全て2回接種が出来たことになります。2回の接種をすれば風疹にかかることはまずありませんし、その結果合併症も起こりません。現に子どもでは殆ど風疹の発症はなくなっています。しかし、予防接種をしていない成人や、予防接種後長い期間が経ち予防効果がなくなってしまった成人に風疹が発症し、流行が止まらないのです。特に1979年以前に生まれた男性は全く予防接種をしていませんので、風疹にかかる危険性は極めて高くなっています。神戸市の報告でも20代~40代の男性の発症が飛び抜けて多くなっているのです。
ここで風疹の流行で最も問題となるのは、かかった本人以外のまわりの妊婦が感染することで先天性風疹症候群が発症する危険があるからです。先天性風疹症候群とは、妊婦が風疹にかかることで胎内感染を起こし、その結果出生児に白内障、先天性心疾患、感音性難聴、発達遅延などの重度の先天障害が起こることです。特に妊娠初期の感染で起こりやすく、妊娠1ヶ月で50%、妊娠2ヶ月で35%、妊娠3ヶ月で18%、妊娠4ヶ月で8%に起こると言われています。現に平成24年では近畿地方で5例(兵庫県で2例)の先天性風疹症候群の報告がみられています。このような先天性風疹症候群を起こさないためには、妊婦が感染しないように社会全体で風疹の流行防止をすることが必要です。妊婦になる可能性のある女性やその家族は必ず風疹ワクチンをしておくことは当然ですが、今の流行の原因となっている成人男性の発病を抑えることが最も大切なことになります。風疹の発症予防にはワクチン接種が有効で、かつ唯一の方法です。男性ばかりでなく女性も含めた一般成人が風疹ワクチン接種を受けるよう啓蒙していくことが必要と思います。自分の感染予防だけではなく、社会全体の風疹予防のために、今まで風疹ワクチンをしたことのない成人は、出来るだけ風疹ワクチンを接種することをお勧めします。風疹単抗原ワクチンがなければ、麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)でも構いません。麻疹も重篤な症状を出す流行を起こしてはいけない病気ですから、ワクチンの追加接種をする意義は十分あると思います。先天性風疹症候群は、社会全体が風疹ワクチンをすることで防げる病気だということを、十分ご理解頂きたいと思います。
ところで風疹とはどのような病気でしょうか。風疹は麻疹とともに非常に有名な病気ですが、最近は流行することが少なくなっていたために病気自体を知らない人が増えてきました。風疹は風疹ウイルスによって起こる伝染性の病気で、ヒトのみが発病します。症状の出ない不顕性感染は15%から25%程度あります。潜伏期間は2週~3週で、まずは細かな斑状の発疹が顔面から体幹、四肢に出現します。この発疹は融合することのないのが特徴です。同時に頚部、後頭部、耳の後ろのリンパ節の腫れがみられ、発熱など風邪症状もみられます。発疹や発熱は大体3日程で消退しますが、リンパ節の腫れはしばらく残ります。風疹が「3日ばしか」呼ばれるのは、病気が麻疹と異なり3日程で治ってしまうことからです。子どもでは風疹は、麻疹と違ってあまり重症にはなりませんが、それでも約6000人に1人は脳炎を起こし、約3000人に1人は血小板減少症などの合併症を起こします。しかし、成人の場合は子どもに較べはるかに症状はきつくなります。発疹や発熱以外に関節痛や結膜炎も多く、合併症も起こりやすく治るまでの時間も長くなります。
現在の風疹の大流行は子どもではなく、予防接種をしていない成人(特に男性)で起こっています。日本では1977年から女子中学生にのみ風疹ワクチン接種を始めました。しかし、風疹感染を最も起こしやすい子どもに接種をしなかったために、風疹の流行は全く止まりませんでした。1989年からMMR(麻疹・風疹・おたふくかぜ)ワクチンが男女の区別なく出来るようになりましたが、これも副作用のため接種が中止になり、接種者は広がりませんでした。1995年からは風疹ワクチンの接種対象を1歳~7歳半までの子ども全体に変更し、更に1979年以後の出生者に対する経過措置の接種も認められました。このことにより子どもでの流行はなくなりましたが、接種が1回のみで不徹底だったこと、また経過措置の情報伝達も不十分だったため、未接種者や成人の発症は続いてしまいました。2006年から未接種者をなくすためとワクチンの予防効果をより高めるために、1歳児と就学前1年間の2回接種が始まりました。また、2008年からは5年間の期限付きで中学1年生と高校3年生にも接種が行われ、未接種者を除けば1歳以上18歳以下の子どもは全て2回接種が出来たことになります。2回の接種をすれば風疹にかかることはまずありませんし、その結果合併症も起こりません。現に子どもでは殆ど風疹の発症はなくなっています。しかし、予防接種をしていない成人や、予防接種後長い期間が経ち予防効果がなくなってしまった成人に風疹が発症し、流行が止まらないのです。特に1979年以前に生まれた男性は全く予防接種をしていませんので、風疹にかかる危険性は極めて高くなっています。神戸市の報告でも20代~40代の男性の発症が飛び抜けて多くなっているのです。
ここで風疹の流行で最も問題となるのは、かかった本人以外のまわりの妊婦が感染することで先天性風疹症候群が発症する危険があるからです。先天性風疹症候群とは、妊婦が風疹にかかることで胎内感染を起こし、その結果出生児に白内障、先天性心疾患、感音性難聴、発達遅延などの重度の先天障害が起こることです。特に妊娠初期の感染で起こりやすく、妊娠1ヶ月で50%、妊娠2ヶ月で35%、妊娠3ヶ月で18%、妊娠4ヶ月で8%に起こると言われています。現に平成24年では近畿地方で5例(兵庫県で2例)の先天性風疹症候群の報告がみられています。このような先天性風疹症候群を起こさないためには、妊婦が感染しないように社会全体で風疹の流行防止をすることが必要です。妊婦になる可能性のある女性やその家族は必ず風疹ワクチンをしておくことは当然ですが、今の流行の原因となっている成人男性の発病を抑えることが最も大切なことになります。風疹の発症予防にはワクチン接種が有効で、かつ唯一の方法です。男性ばかりでなく女性も含めた一般成人が風疹ワクチン接種を受けるよう啓蒙していくことが必要と思います。自分の感染予防だけではなく、社会全体の風疹予防のために、今まで風疹ワクチンをしたことのない成人は、出来るだけ風疹ワクチンを接種することをお勧めします。風疹単抗原ワクチンがなければ、麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)でも構いません。麻疹も重篤な症状を出す流行を起こしてはいけない病気ですから、ワクチンの追加接種をする意義は十分あると思います。先天性風疹症候群は、社会全体が風疹ワクチンをすることで防げる病気だということを、十分ご理解頂きたいと思います。