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健康コラム

2013年10月 3日 木曜日

「長引く咳」で困っておられる方に

 咳が長引くのは大変辛いことです。内科の診療において、咳を主訴にして来院される方は多く、特に季節の変わり目になると目立ってきます。
期間が短い場合は、急性の感染症(いわゆるかぜ症候群)を念頭にして治療することになります(この場合、痰のからむ湿性咳嗽の時期があります)が、咳の持続期間が長くなると、これから申し上げる多彩な疾患を考えていきます。

 遷延性・慢性咳嗽(咳を咳嗽「ガイソウ」と表記します)の原因として考え
 られるのは、
   感染後咳嗽
   アレルギーによる咳嗽:咳喘息・アトピー咳嗽
   逆流性食道炎/GERD(胃食道逆流症)による咳嗽
   肺気腫/COPD(慢性閉塞性肺疾患)による咳嗽
   その他:耳鼻科的疾患、薬の副作用 などです。

「感染後咳嗽」
ポイントは、かぜ症状が先行し、自然軽快傾向がある場合
  原因微生物が既に除去されているにもかかわらず咳嗽が続く状態
  で、患者様は『風邪は治ったけど、咳が長引いています。』
  と表現されます。
  咳嗽のピークが過ぎていれば問題ないのですが、悪化するとか
  微熱が続く場合は、胸部レントゲン撮影やマイコプラズマ・肺炎クラ
  ミジア・百日咳菌の検査をします。

「咳喘息・アトピー咳嗽」
  『かぜは治ったはずなのに、咳がちっとも治まらない。』あるいは、
  『かぜは引いていないのに、咳だけがずっと続いている。』
  こんな場合は、アレルギー性咳嗽(咳喘息・アトピー性咳嗽)
  かもしれません。
ポイントは、日によって調子が良い・悪いがある、タバコの煙・
ほこりを吸うと悪化する、季節性がある、温度差・夜間・起床
時に悪化する、長時間の会話で咳出現、等の特徴がある

  上気道粘膜に炎症が続いている状態と考えられます。
  喘鳴や呼吸困難がない点で気管支喘息と区別します。
  しかし、咳喘息の場合は放置していると気管支喘息に移行する
  危険性があります。
  治療は、まず第一にステロイド吸入薬を使うことです。
  必要に応じて気管支拡張薬や経口ステロイド薬も使います。
  ステロイド薬と聞いただけで不安を感じる方がいますが、医師の
  指示通りに正しく使用すれば、炎症を抑える力を十分に発揮
  する薬です。特に吸入ステロイド薬は気道だけに作用するので、
  長期間使用しても安心です。

「逆流性食道炎」/GERD(胃食道逆流症)による咳嗽
ポイントは、食事中や食後に咳が出やすい事です
  気道ではなく食道に炎症がある状態で、治療は胃酸を抑える薬
  を使います。コーヒー、甘い菓子類を控える指導をします。
  治りにくい逆流性食道炎には、内視鏡検査で食道がんが無いか
  を確認すべきです。
  消化器内科医に相談をして下さい。

「肺気腫」/COPD(慢性閉塞性肺疾患)による咳嗽
ポイントは、喫煙者に多く、労作時息切れを伴う事です
  痰のからむ咳:湿性咳嗽のことが多く、治療はCOPDを悪化させ
  ないために、まず禁煙です。吸入薬も使います。肺炎の予防目的
  で、予防接種(インフルエンザ・肺炎球菌)を受けましょう。
  呼吸器内科医に相談をして下さい。

その他
  アレルギー性鼻炎あるいは慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に伴う後鼻漏
  「コウビロウ」による咳嗽、降圧剤等の薬の副作用による咳嗽などが
  あります。其々、耳鼻咽喉科医、かかりつけの先生にご相談下さ
  い。

 毎年10月になると、アレルギー性喘息に悩まされる方が増えます。二つの理由があります。第一に床面や寝具にチリダニの糞が大変多くなること、第二の理由は人の体力が落ちて免疫力が低下するからと言われています。対策ですが、洗えるものは洗濯をします。寝具類は日干し後、掃除機をかけます。室内もこまめに掃除しましょう。「秋は洗濯と掃除の季節」です。
                                                            投稿 和高医院 院長 高 英哲