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健康コラム

2015年1月27日 火曜日

肝炎のおはなし

最近、C型肝炎は「注射ではなく、飲み薬だけで治る。」と聞かれることも多いと思います。このことは、間違いではありませんが、肝炎ウイルスのタイプなどや肝臓の状態、さらに健康保険制度や肝炎治療費助成制度などを総合的に考えて治療を決める必要があります。
今回は、C型肝炎の基本的なことについて説明させていただきます。
C型肝炎という病気は、C型肝炎ウイルスが原因で肝臓に炎症が起こる病気です。

感染経路
C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。現在感染されている方のほとんどは、過去の輸血や注射が原因です。かつてはC型肝炎ウイルスに汚染されていた血液製剤での感染もありました。最近ではピアスの穴あけ、入れ墨、医療現場での針刺し事故などによる感染がみられます。

持続感染
C型肝炎ウイルスに感染した後は、約3割は自然にウイルスが排除されますが、約7割は持続感染に移行します。慢性肝炎とは、通常6ヵ月以上肝炎が続いている状態です。
C型肝炎はゆっくりと進行し、肝がんが発症する割合は、段階が進むほど高くなります。
C型肝炎ウイルス持続感染になり、ウイルスを保有している人をキャリアと呼びます。キャリアの方は、肝臓の状態を診るため、定期的に検査を受けることをおすすめします。

血液検査による診断
C型肝炎ウイルスの検査
C型肝炎ウイルス(HCV)の感染の有無は、血液検査で調べます。検査項目には、HCV 抗体、HCVコア抗原、HCV- RNA があります
最初に、HCV抗体の有無を調べます。陽性の場合は感染の可能性が高いと判定し、さらに精度の高いHCV HCV-RNAを実施します。
感染が認められた場合は、治療方針を決めるための検査をします。
肝臓の障害をみる検査
AST(GOT)、ALT (GPT)、γ-GTP、ALP
肝臓の機能をみる検査
血清アルブミン、プロトロンビン時間、血中アンモニア、総コレステロール、総ビリルビン、血小板数

肝生検による診断
肝臓の線維化や肝炎の活動性をみるためには肝生検を行います。肝臓に検査用の針を刺して組織を採取し、顕微鏡で組織を観察します。慢性肝炎の診断だけでなく、線維化の程度や肝炎の活動性をみることが可能です。

治療
C型慢性肝炎の治療には、インターフェロン治療及び内服薬のみのインターフェロンフリー治療による抗ウイルス療法と、病態の進展を遅らせる肝庇護療法があります。
ウイルスを排除するためには抗ウイルス療法が必要ですが、副作用や肝臓の状態で治療ができない場合には、肝庇護療法を行う場合があります。
抗ウイルス療法には、ペグインターフェロンとリバビリンの併用、プロテアーゼ阻害剤(テラプレビル、シメプレビル、アスナプレビル)、NS5A複製複合体阻害剤(ダクラタスビル)などが用いられており、治療薬の開発とともにウイルス排除率は高まっています。
これまでは注射薬のインターフェロンを用いた治療が中心でしたが、2014年に登場した内服のみのインターフェロンフリー治療(ダクラタスビルとアスナプレビルの併用)により、これまで治療を受けることが出来なかった方や、インターフェロン治療で効果が無かった方にも有効な治療ができるようになりました。
どの治療法を選択するかは患者さんのウイルスの型とウイルス量、年齢、線維化の程度などによって決められます。

 おねがい
C型慢性肝炎と診断されているが、定期的に通院されていない方は、すぐにかかりつけ医を決めて受診してください。ウイルス治療には肝炎治療費の助成制度があります。詳しくは兵庫県のホームページをご覧ください。
また、C型肝炎検査を一度も受けたことのない方は、早めに検査を受けてください。無料の肝炎ウイルス検査があります。詳しくは神戸市のホームページをご覧ください。

投稿 
清水内科クリニック 院長 清水惠一