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健康コラム

2016年1月18日 月曜日

飛蚊症のおはなし

目の前に虫が飛ぶ?!
●飛蚊症って?!
目の前に黒いものが飛ぶことを飛蚊症といいます。明るい所や白い壁、青空などを見つ
めたとき、目の前に虫や糸くずなどの"浮遊物"が飛んでいるように見えます。
数も1個から数個、時に多数のこともあります。これらの"浮遊物"は目を動かすと、ふわっといった感じで視線を動かしてもなお一緒に移動してくるように感じられ、暗い所では気にならなくなります。

●どうしておきるの?!
眼球の中の大部分は、硝子体と呼ばれるゼリー状の透明な物質(生卵の白身のようなドロッとした液体)が詰まっています。角膜と水晶体を通して外から入ってきた光は、この硝子体を通過して網膜でピントが合います。ところが、硝子体に何らかの原因で「濁り」が生じると、明るいところを見たときにその「濁り」の影が網膜に映り、眼球の動きとともに揺れ動き、飛蚊症として自覚されます。
                        
●原因
①生まれつきのもの(出生前の組織の遺残):
母体内で胎児の眼球がつくられる途中では、硝子体に血管が通っています。通常、眼球
が完成するとこの血管は無くなっていきます。しかし、生まれたのちも血管の名残りが
硝子体に残存すると、これが"浮遊物(濁り)"となって飛蚊症の症状を感じることがあ
ります。
②硝子体の年齢による変化(後部硝子体剥離)
歳をとると硝子体はゼリー状から液状に変化し、硝子体は次第に収縮して網膜から剥が
れます(後部硝子体剥離)。このような変化が飛蚊症の症状をもたらしますが、髪が白髪
になるのと同じようなもので、生理的な現象です。また、若い人でも強度の近視の場合
には、この後部硝子体剥離が早期に起こりやすく、しばしば飛蚊症の訴えがあります。
③硝子体の年齢による変化以外の原因によるもの
*網膜裂孔・網膜剥離
後部硝子体剥離やその他の原因で網膜に穴が開いたり(網膜裂孔)、その穴を中心に網膜
が下の層から剥がれて硝子体の方へ浮き出します(網膜剥離)。
*硝子体出血
糖尿病や高血圧、外傷などにより眼底で出血が起こり、その血液が硝子体に入ると突然、
飛蚊症の症状を感じたり、目の前に赤いカーテンを引いたように感じます。
*ぶどう膜炎
ぶどう膜(虹彩・毛様体・脈絡膜の3つの部分から成る)に細菌やウイルスが進入したり、
眼のアレルギー反応により炎症が起こると、血管から白血球や滲出物が硝子体に入り込
み、飛蚊症の症状を感じます。


●飛蚊症で気を付けて頂きたいこと
飛蚊症のほとんどは病気でないものですが、ときに思いがけない病気が原因となってい
ることがあります。"浮遊物"の数が急に増えたり形が変わったり、視力が落ちるようで
あれぱ、網膜剥離・硝子体出血・ぶどう膜炎などの失明に至る重篤な目の病気が隠れて
いることもあるので、直ちに眼科医に相談してください。

投稿
梶川眼科医院 院長 梶川大介