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健康コラム

2018年2月20日 火曜日

緑内障のおはなし

緑内障

緑内障とは視神経が障害され見える範囲が狭くなる病気です。眼圧の上昇がその原因の一つで、視神経が圧迫され障害を受ける結果、視野がせまくなり(視野狭窄)、失明に至ることもあります。40歳以上の日本人における有病率は5.0%にのぼり、新規発見率は89%で、いまだ治療を受けていない患者さんが多いです。
眼の中には、栄養などを運ぶ房水と呼ばれる液体が流れています。房水は毛様体で作られ、隅角から繊維柱帯に出て排出されます。この房水による眼の圧力を眼圧と呼びます。
緑内障には、まず原発開放隅角緑内障があります。繊維柱帯が目詰まりして房水の圧力が上がり、眼圧が上昇します。ゆっくりと進行する慢性型です。その中で、眼圧が正常範囲(10~21 mmHg)でも緑内障になる場合を正常眼圧緑内障といい、緑内障の7割に当たり、日本人に多いタイプです。また原発閉塞隅角緑内障は、繊維柱帯に入る前の隅角が塞がり、房水の流れが妨げられて眼圧が上がる場合で、慢性型と急性型があります。そのほか、先天性、外傷、他の眼の疾患やステロイド薬による続発緑内障があります。
症状ですが、一般に自覚症状に乏しく知らないうちに進行します。しかし視神経が障害されると治ることはないので、早期発見・治療が必要です。急性型の場合、眼の痛みや頭痛、吐き気などを起こします。すぐに眼圧を下げる治療が必要です。
緑内障の治療では、眼圧を低くする治療として、主に房水の産生量を減らし、流れをよくする薬を使います。点眼薬から始め、次に内服薬を併用します。侵襲的には、レーザーを虹彩にあてて穴をあけたり繊維柱帯にあてて房水の流れを促進したりします。また房水の流れを妨げている部分を切開し流路をつくって房水を流れやすくしたり、毛様体の房水産生を抑制したりする手術をします。
緑内障の患者さんで、抗ヒスタミン薬(風邪薬や咳止め薬など)や抗パーキンソン病薬、不整脈薬などで抗コリン作用をもつ薬物や狭心症で硝酸薬を併用する場合は、緑内障が悪化する可能性がありますので、主治医に相談しましょう

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神戸医療センター 眼科部長 藤岡久美子