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健康コラム

2019年3月27日 水曜日

帯状疱疹の痛みと、その後の神経痛についてのおはなし

帯状疱疹とは、なんでしょうか?
帯状疱疹とは、子供の頃にかかった水ぼうそうウィルスの再活動、再活性化です。昔かかった時のウィルスが神経節に潜伏しており、疲労気味の時などに免疫能が低下して、水ぼうそうウィルスが身体の一部分で活動を始めます。初感染の水ぼうそうの時とは異なり、潜んだ神経節の支配領域に皮疹と痛みを生じさせます。
普通は皮疹の治癒と共に痛みも消えますが、炎症の程度が強いと神経がきちんと治らず、軽い触刺激で痛みが出たり、勝手に神経が興奮しズキズキ、ビリビリと痛んだりします。
60歳以上では、20%が神経痛を発症するようです。そうならないように、まず発症早期の抗ウィルス薬による帯状疱疹の治療と、痛みのコントロールが必要です。
痛みは目に見えないものなのでわかりにくいのですが、繰り返し痛み刺激が加わると、次第に痛みが強くなります。これをワインドアップ現象といいます。だから強い痛みを我慢し過ぎないことが大事です。
内服薬は通常の痛み止め、神経障害性疼痛治療薬のリリカ、三環系抗うつ薬、弱オピオイドなどを組み合わせて使います。
神経ブロック治療は、痛みの程度と場所に応じて行います。痛みの程度が非常に強い場合は、入院して頻回、もしくは持続的に神経ブロック治療を行う方が良い場合もあります。
不幸にして神経痛が残ってしまったら、基本は内服治療です。半年経ってしまった痛みには、あまり神経ブロックは効果がありません。ただ非常に強い場合には、脊髄電気刺激療法という電極を挿入してペースメーカーの時のように体に電池を植え込み、自分で刺激する鎮痛方法があります。
帯状疱疹の発症予防には、ワクチンが一番有効です。最近50歳以上で乾燥水痘弱毒ワクチンの接種が追加承認されました。また近いうちに、有効性の高い不活化ワクチンが発売される予定です。
帯状疱疹は軽症ならいいのですが神経痛が残ると日常生活に影響を及ぼす事があるため、ならないに越したことはありません。疲労をためない生活を心掛け、高齢になったらワクチン接種をお勧めします。

投稿
大石医院 院長 大石敬子