健康コラム
2016年6月14日 火曜日
神経内科という診療科について
地下鉄妙法寺駅前で昨年開業しました。風邪や高血圧などの内科疾患で来られる患者さんのほか、手足のふるえ、めまい、物忘れなどの相談に来られる患者さんも増えています。まだ地域の神経内科医は全国的に少なく、脳神経の症状について、すぐに相談できる医療機関がなかなかないというのは、私が医師になった20年前とあまり変わっていないようです。
今回は、脳神経の病気で最も多いパーキンソン病、認知症という病気を例に、神経内科とはどのような診療科であるのかをご紹介します。
パーキンソン病や認知症の大半を占めるアルツハイマー病、レビー小体病はいずれも「脳変性疾患」に分類されており、原因・治療はまだまだ研究途上です。パーキンソン病ははじめ手足のふるえで気づかれることがおおく、次第に字が小さくなったり、歩くのが遅くなったりします。認知症は原因となる病気によってちがいますが、アルツハイマー病の場合はふつう記憶が短時間しか保持できない、日付が思い出せないといった症状から始まります。
神経内科医にとって、認知症もパーキンソン病も診断のプロセスは同じです。いつからどのような症状が現れ、いま困っている症状はなにか、以前どんな病気にかかったことがあるか、いま服用している薬やサプリメントはないかなどを丹念に伺います。伺いながら、病気が怪我から来ているのか、飲んでいる薬剤から来ているのかなどを考えます。つぎに神経学的診察にもとづいて、脳、脊髄、末梢神経、筋肉のどこに病気があるかを推定します。MRIなどの画像検査はできるだけ受けていただくようにしています。今の時代、名人芸的な診察だけではダメで、誤診を防ぐためにも画像の情報はかかせません。もちろん体のどこを検査すべきなのかなどの判断をおこなうのも神経内科医の役割のひとつです。
このようにたくさんの情報を集めますので、診察には時間がかかってしまいがちです。しかし忘れてはいけない医学の基本である、話を「聞く」、身体を「触る」をいまでもそのまま実践している診療科であるという自負をもって診療にあたっています。抗パーキンソン病薬、抗認知症薬とも期待される効果と同じくらい副作用が存在しますので、治療はよかったか、よくないことはなかったか、なども謙虚に伺うよう心がけています。
投稿
戸根内科・神経内科医院 院長 戸根幸太郎
今回は、脳神経の病気で最も多いパーキンソン病、認知症という病気を例に、神経内科とはどのような診療科であるのかをご紹介します。
パーキンソン病や認知症の大半を占めるアルツハイマー病、レビー小体病はいずれも「脳変性疾患」に分類されており、原因・治療はまだまだ研究途上です。パーキンソン病ははじめ手足のふるえで気づかれることがおおく、次第に字が小さくなったり、歩くのが遅くなったりします。認知症は原因となる病気によってちがいますが、アルツハイマー病の場合はふつう記憶が短時間しか保持できない、日付が思い出せないといった症状から始まります。
神経内科医にとって、認知症もパーキンソン病も診断のプロセスは同じです。いつからどのような症状が現れ、いま困っている症状はなにか、以前どんな病気にかかったことがあるか、いま服用している薬やサプリメントはないかなどを丹念に伺います。伺いながら、病気が怪我から来ているのか、飲んでいる薬剤から来ているのかなどを考えます。つぎに神経学的診察にもとづいて、脳、脊髄、末梢神経、筋肉のどこに病気があるかを推定します。MRIなどの画像検査はできるだけ受けていただくようにしています。今の時代、名人芸的な診察だけではダメで、誤診を防ぐためにも画像の情報はかかせません。もちろん体のどこを検査すべきなのかなどの判断をおこなうのも神経内科医の役割のひとつです。
このようにたくさんの情報を集めますので、診察には時間がかかってしまいがちです。しかし忘れてはいけない医学の基本である、話を「聞く」、身体を「触る」をいまでもそのまま実践している診療科であるという自負をもって診療にあたっています。抗パーキンソン病薬、抗認知症薬とも期待される効果と同じくらい副作用が存在しますので、治療はよかったか、よくないことはなかったか、なども謙虚に伺うよう心がけています。
投稿
戸根内科・神経内科医院 院長 戸根幸太郎