健康コラム
2017年9月28日 木曜日
便秘のおはなし
さて、便秘をざっくり分けると「器質的便秘」と「機能的便秘」に分けられます。いきなり慣れない専門用語で難しそうに見えますが、何のことはない「がんなどで便が通らない便秘」と「大腸は大丈夫なのだが単純に腸の動きが悪い人、或いは便が硬くて出ない人」ということです。
大腸がんで便が詰まっている場合は一大事ですので、便に血が混じっている場合や一度も大腸の検査をしていない人は、一度大腸内視鏡検査を考慮する必要があります。
しかしながら、世の中の便秘で困っている人のほとんどは「機能的便秘」であります。
「便秘と下痢を繰り返す」という人がいますが、よくよく訊くと硬い便がポロポロ出てその後に泥状便がダラダラ出るという人が多いのです。これは便秘と下痢を繰り返しているのではなく、明らかに便秘症なのです。ではなぜ下痢を伴うのでしょうか。
大腸の中にはあのバナナみたいな便が詰まっていると思っている人が多いようですが、実は違うのです。ペースト状の便が直腸に溜まって脱水されてあのバナナみたいな便が作成されるのです。その奥のS状結腸や下行結腸にある便は相当に緩いのです。
さて、直腸で脱水された便がすぐに出てくれれば問題はないのですが、諸事情で排便に行けなかったり蠕動運動の弱い人は、そのまま直腸で便が脱水を受け続ける羽目になります。すると便は硬くなり出にくくなり、更に脱水を受けて兎の糞のようになってしまいます。そうなると、いわゆる下剤(お馴染みのセンナやプルセニドなど)の出番となります。そして大腸が動いておなかが痛くなって硬い便が出て、その奥に溜まっていた泥状便がダラダラ出てくるといったサイクルに入ります。この悪循環を何とかしないと便秘の負のサイクルから抜け出せません。
ここで出てくるのが、マグミットやカマグに代表される、便を柔らかくするタイプの下剤です。これらの下剤は、下剤と言いながら大腸を動かす力は持ち合わせておりません。便と混じって便が硬くなるのを防いでくれるのです。云わば便の保湿剤です。直腸での停滞時間が少々長くなっても便が硬くならないので、うまくゆけば自力での排便も期待できます。最近では、小腸から水分を出して便を柔らかくするタイプの下剤も出ておりますので色々と使い分けもできるようになりました。
硬便でお困りの方は、一度主治医の先生に相談してみては如何でしょうか。
投稿
まえ川 内科クリニック 院長 前川透
大腸がんで便が詰まっている場合は一大事ですので、便に血が混じっている場合や一度も大腸の検査をしていない人は、一度大腸内視鏡検査を考慮する必要があります。
しかしながら、世の中の便秘で困っている人のほとんどは「機能的便秘」であります。
「便秘と下痢を繰り返す」という人がいますが、よくよく訊くと硬い便がポロポロ出てその後に泥状便がダラダラ出るという人が多いのです。これは便秘と下痢を繰り返しているのではなく、明らかに便秘症なのです。ではなぜ下痢を伴うのでしょうか。
大腸の中にはあのバナナみたいな便が詰まっていると思っている人が多いようですが、実は違うのです。ペースト状の便が直腸に溜まって脱水されてあのバナナみたいな便が作成されるのです。その奥のS状結腸や下行結腸にある便は相当に緩いのです。
さて、直腸で脱水された便がすぐに出てくれれば問題はないのですが、諸事情で排便に行けなかったり蠕動運動の弱い人は、そのまま直腸で便が脱水を受け続ける羽目になります。すると便は硬くなり出にくくなり、更に脱水を受けて兎の糞のようになってしまいます。そうなると、いわゆる下剤(お馴染みのセンナやプルセニドなど)の出番となります。そして大腸が動いておなかが痛くなって硬い便が出て、その奥に溜まっていた泥状便がダラダラ出てくるといったサイクルに入ります。この悪循環を何とかしないと便秘の負のサイクルから抜け出せません。
ここで出てくるのが、マグミットやカマグに代表される、便を柔らかくするタイプの下剤です。これらの下剤は、下剤と言いながら大腸を動かす力は持ち合わせておりません。便と混じって便が硬くなるのを防いでくれるのです。云わば便の保湿剤です。直腸での停滞時間が少々長くなっても便が硬くならないので、うまくゆけば自力での排便も期待できます。最近では、小腸から水分を出して便を柔らかくするタイプの下剤も出ておりますので色々と使い分けもできるようになりました。
硬便でお困りの方は、一度主治医の先生に相談してみては如何でしょうか。
投稿
まえ川 内科クリニック 院長 前川透